マジックにおける練習のプロセス

プロマジシャンをやっていて、いくつかの質問をされることがあります。

「器用じゃないと出来ないの?」
「どれくらい練習したの?」
「簡単ですぐ出来て不思議なマジックないの?」


それぞれ、プロマジシャンなら100万回聞かれる質問です。

そして、よくお客様にマジックを披露して「なんでぇ〜!!?」って言われたら『練習したから』とマジシャンは答えます。

まぁ、あながち間違ってはいないです。笑

マジシャンという『魔法』を扱う演者としてはあまり適切な回答ではないように思いますが、この『練習』はマジックを習得する上では必要不可欠で、マジックを披露している演者は必ずその裏で習得のための努力をしています。


つまりどんなに簡単なマジックでも、絶対に練習は必要なのです。



ここからは、あくまでマジシャン信楽個人が思うマジシャン像ですので業界全体の考えではありません。

予めご理解のほどよろしくお願いします。




マジシャンを簡単に言い表すなら、『特別な知識』を有した『演技者』と言えます。

一般の方が『概念として知らない』または『違う用途の方法』の情報を持っていて、それを様々な演出で演者本人が表現する『演芸』です。


あくまで、マジックとは『芸術作品』であり、演者の表現のための『ツール』でしかありません。


故にマジックとは、稚拙な技術や考えで演じていいものではそもそも無いと思っています。

先人達が築きあげてきた知性の塊。

それがマジックです。

さて、前置きが長くなりましたがマジシャンはもちろん魔法使いでも超能力者でも無いので、生まれた瞬間からコインや指輪が消せたわけではありません。


そこには血の滲むような努力が背景にあり、演者としての哲学を有したり表現者としての鍛錬が裏で行われています。

これらを『努力』として捉えず『当たり前』として継続して行い続けられるだけのメンタリティと意思力があって、初めて『プロマジシャン』として活躍できると思っています。


これはどの分野のプロにも言えることだと思います。

もちろん、趣味人としてマジックを行う方は別です。

趣味は概ね誰にでも自由に触れられるものですし、プロでないのならなおさらです。


しかし趣味とは、誰もがプロに憧れるものですし、高みを目指すのは趣味人としては当然です。


では、プロはどのようにしてその『高み』まで上り詰めたのでしょうか。


最初から天才的にその能力を有していたのでしょうか?


そんなわけないですよね。

『すごい!』とか『素晴らしい!』と評価されるものの背景には、やはりとんでもない『努力量』が隠されています。


目標を達成するためには、圧倒的な量をこなすしかないのです。


「どうやったらそんなに凄いことが出来るの?」

簡単な話しです。


圧倒的な反復練習を行い、圧倒的に量をこなし、そこから質を求め、改善し続ける。



ただ、それだけなのです。


全てのこれからマジシャンを目指す方に、この言葉を送りたいです。。

それは、どんなものも…

『量からしか質は生まれない』



どれだけ先にクオリティを求めていようとも、そのクオリティを表現するだけの『技術』や『考え』が無いのにそんなことを求めても無駄です。

それだけのクオリティを表現するだけの力が、まだあなたに備わっていないからです。

成功に近道はありません。


地道に一つずつ一つずつコツコツと積み重ねていくしかないのです。

よく、すぐにタネが理解できたからマジックを友人や知人に見せびらかす方がいらっしゃいますが、そんな稚拙な技術でみんなに披露してしまうとマジック自体がツマラナイものになってしまう恐れがあります。


僕はマジックが好きです。


好きだからこそ続けていくことが出来ますし、尊敬しているからこそ丁重にマジックを扱うのだと思います。



兎にも角にもマジックを習得するにはコツコツと地道な練習をする必要があるということです。


そして、多くの人の前で演じ続けなければ上達しません。


信楽のパーソナルレクチャーを受ける方は前もってマジックを習得するためには、必ず練習をしなければならないことを肝に命じておいてもらえればと思います。



しかし、『練習』さえすればどんな方にも習得可能でマジックはどんな人にも平等に手にとってもらえます。


マジックは世界の壁も言語の壁も超えて多くの方と触れ合うことができる魔法のツールです。

その努力に見合った報酬が必ず与えられます。


もっと多くの人を喜ばせたい。
もっと多くの人に見てもらいたい。

そんな願いを叶えてくれるマジックだからこそ僕は多くの方に手にとってもらいたいのです。


マジックの素晴らしさが少しでも多くの方に伝わればと願っています。


マジシャン信楽

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